誤り婚−こんなはずじゃなかった!−

(やば……。さすがに言い方キツかったかな……。)

 だが、あいなの心配は杞憂に終わった。

 シャルは肩を震わせ、声を出さずに笑っている。大笑いしたいのをこらえているのだろう。

「即離婚、ね。覚えておいてやろう。本当にそうなる日が来ると、お前はいつまで信じていられるのだろうな」

「ちょっと!私の話、聞いてた!?」

 完全にタメ口になってしまうくらい、あいなは呆れた。呆れずにはいられなかった。そんなもの気にせず、シャルはひょうひょうと、

「ああ。聞いていた。男のステータスに興味なし。俺にも好意がない、と。このままでは、結婚生活も冷えきったものになるだろうな」

「わかってるんだったらっ!」

「そういう女をオトすのは初めてでな。今からワクワクしてるんだ」

「は!?」

「俺は各国の姫にモテる。これ以上結婚相手にふさわしい条件を備えた男、いないからな」

「それ、自分で言っちゃうんですか……」

 あいなかはガックリ肩を落とす。まともに聞いている気にもなれなかった。

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