誤り婚−こんなはずじゃなかった!−

 シャルはため息をつき、

「これでいいんだ」

「本当によかったのですか?あのように強引なやり方をされて……。あいな様のシャル様に対するイメージは、底なしに悪化しておりますが」

「お前はよけいなことを気にせず、今まで通り俺のサポートをしろ。後は、俺が何とかする」

「承知しました。ですが、突然このようなことになり、あいな様も大変不安を抱えてみえるかと。もう少し、彼女の心を気遣われた方が……」

「……初めてだな。お前がそこまで俺に意見するなんて」

「………………」

「言われずとも、分かっている。俺の選んだ女だ、間違いはない」

「……差し出がましいことを言いました。お許しください」

「お前が心配しているのは、本当は……。いや、何でもない。下がれ。後は俺がやっておく」

 ルイスが手にしていた書類の束をひったくり、シャルはデスクに座った。

「……ありがとうございます。失礼します」

 ルイスが執務室を後にしても、しばらくの間、シャルは書類を眺めたままぼんやり考え事をしていたのだった。
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