誤り婚−こんなはずじゃなかった!−
「……?龍河君、どうしたの?顔赤いけど、熱でもある?」
秋葉の手のひらが、龍河の頬に触れた。
「っ!いやっ、別にそんなんじゃっ!!」
挙動不審になってしまう。想定外の出来事に直面し、龍河は、うまいこと言葉を選べなかった。姉のことはいくらでも言い負かすことができるのに、やはり、天下の秋葉には敵わない。と思った。
「大丈夫ですっ、さっきまでアイスとか食べてましたしっ!」
龍河の声は裏返ってしまい、さらに恥ずかしい気持ちが増した。
それを見てクスッと笑うと、秋葉は龍河の顔をのぞきこみ、
「こんな風に二人きりで話したの、初めてだね。いつも、あいなが一緒だもんね」
「そうですね。にしても、姉ちゃん遅いですよね。何やってんだろ、ホントすいません、なんか」
「龍河君が謝ることないよ。あいなにも何か急用ができたのかもしれないし。ちょっとだけ、ここで待たせてもらっていいかな?」