誤り婚−こんなはずじゃなかった!−
「やっぱりか。姉ちゃん、あの指輪妙に大事にしてたしな。まさか、それのせいでこんな展開になるとは思わなかったけど……。ある意味、姉ちゃんの望みが叶ったってことか」
「その指輪なら、私も知ってる。でも、あいなの望みが叶ったってどういうこと?龍河君」
「秋葉さん、詳しいことは後で説明します。今は、この人の言うことを聞きましょう。胡散臭いけど……」
あいなを返してほしい。こちらの要求はすんなり通らないと気付いた龍河は、淡々とした声音でルイスに言った。
「わかりました。とりあえず納得しときますよ。でも、姉ちゃんが嫌がることは絶対しないって約束してくれます?」
「もちろんでございます。我が国のお妃様としてお迎えする以上、あいな様の意志は最優先いたします」
「だったら、いい」
龍河は自室に行き、持ち運び可能な小型ゲーム機とソフト、充電器、少女マンガを数冊、ルイスに渡した。
「充電器に関しては異世界で使えるかどうか分からないけど、姉ちゃんに渡しておいて。サブカルのない生活に発狂するといけないから」
「承知しました。責任をもって、必ずあいな様にお渡しいたします」