誤り婚−こんなはずじゃなかった!−
「これは、あいなが幸せな恋をつかむための近道でもあるんだよ」
秋葉は言った。
「マニュアルのおかげで、私、今まで好きになった男は片っぱしから手に入れてきたもん。って言っても、友達の彼氏は対象外だけどね」
「秋葉は美人だし性格もいいし、色っぽいから恋が実るんだよー」
あいなにはあいなの言い分があった。
「たしかに、マニュアルって賢いことがいっぱい書いてあってすごいと思うよ。でも、秋葉がモテて恋愛が上手くいってるのは、秋葉の見た目がおおいに関係してると思う!」
Dカップの胸。モデルのようにスラリとした手足。サラサラのロングヘア。小悪魔っぽくラブリーな顔。明るくて優しい雰囲気の中に、どこかミステリアスなオーラが漂っていて……。
「そんなことないって。いつも言ってるけど、あいなは私のこと誉めすぎ。私だって、好きな人をモノにしても最後にはフラれて終わるってことはあるし、この外見って意外と役に立たないんだよ。こっちが興味ない軽そうな男はうざいくらい寄ってくるのに、本命の男には『近寄りがたい』って敬遠されるしさ」
「そんなセリフ、一度でいいから私も言ってみたいよ~!」
「何でそうなるの!!」
「だって、それだけたくさんの男の子に声かけられるってことは、その中から運命の相手を見つけ出せる可能性があるってことじゃん!万年失恋ガールの私なんかより、チャンスいっぱいじゃんか!」