誤り婚−こんなはずじゃなかった!−




 一人、庭園に残されたハロルドは城への入口を見つめた。ついさきほどシャルとあいなが通った場所である。

「……シャル。君は本当に鈍感だよ。罪深いくらいにね……」

 今、ハロルドの瞳には影が差していた。それは空に広がり始めた雲のせいではない。

「僕が君の恋の伏兵になっても怒らないでね。って、それは無理な話かな。君はきっと慌てふためくのだろうね。いや、激昂するのかな?」

< 70 / 83 >

この作品をシェア

pagetop