誤り婚−こんなはずじゃなかった!−

 四人は様々なことをして遊んだ。普段は出入り禁止になっている地下室の宝物庫に忍び込んでお宝を眺めたり、使用人達専用の調理場を使っておやつを作ったり。

 城の中は広く、とても1日では探索しきれない。そのうち遊び疲れて眠ってしまったあいなと龍河を客室まで運びベッドに寝かせると、ルイスは言った。

「シャル様もすでにお気付きだとは思いますが、このお二人が現れてから、城の様子がおかしいです。恐らく、城の外も同じ状態でしょう」

「……ああ」

 夢中になって遊んでいたシャルも、明るかった顔を戸惑い一色に変える。ルイスの指摘通りのことを、シャルも感じていたからだ。

 あれから何時間も遊んでいたのに、時計の針は一切時間の流れを示さず、空も青いまま。城内も、人の気配どころか、シャルとルイス以外の人間が誰もいない。

 そのおかげで探検ごっこを邪魔されなかったし、シャルが勉強をサボっても注意されずに済んだのだが、普段は人の気配で溢れている城内がシンとしているこの有り様は不気味でもあった。
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