誤り婚−こんなはずじゃなかった!−
ルイスの深刻な表情を見て、シャルは息をのんだ。
「なぁ、城がこんな状態になったのって……」
「ええ。彼女達の訪問が関係しています。異変の起きたタイミングといい、それ以外の原因がありません」
「でもさ、こいつら敵じゃないんだろ!?悪気があってこんな風にしたようには見えなかったし!」
「そうですね。お二人の使ったまじないの力が私達の住むこの世界に向けて発せられた、それだけのことでしょう」
様々な知識を持つルイスにそう言ってもらえ、シャルはようやくホッと胸をなでおろすことができた。
「だよな……。こいつらが敵だったら、俺は世の中の全員信じられなくなるとこだった」
「シャル様は相変わらず素直でいらっしゃる」
「ほめてんのか?それ」
「もちろんですよ」
ルイスは含みのある笑みを浮かべた。シャルは呆れつつもすぐに気を取り直す。
「なぁ、こいつら、ずっとこっちにいてくれないかな」
城の中で、ルイス以外に友達と呼べる人間がいないシャルにとって、同世代の遊び仲間は貴重で手放したくない存在だと思った。
「俺、こんなに楽しかったの生まれて初めてだ。こいつらがいるだけで、見慣れたこの城が別世界に見えるし」
「厳密には別世界ですね。まじないにかけられていますから」
「それは言うなよ」