誤り婚−こんなはずじゃなかった!−

 ベッドですやすや寝息を立てているあいなと龍河を見て、シャルは穏やかに笑う。

「もちろん、ルイスのことも好きだし、俺はお前のこと友達だと思ってる。でも、こいつらと今日1日遊んでみて分かった。王子の俺にも、一般国民と同じく友達が作れるんだってこと……」

「ハロルド様が耳にしたら嫉妬されるであろうセリフですね」

「どうしてここでハロルドの名前が出るんだよっ」

「あの方はシャル様に異常なほど御執心ですから」

「うーん……。たしかにアイツは人懐っこいし、しょっちゅう俺のとこに来るよな。おとといも来てたっけ。国同士の付き合いしかしてないのに不思議なやつだよな」

 この頃はまだハロルドとシャルの間に確執はなく、平穏な関係であった。

 ロールシャイン王国とバロニクス帝国は長い時代に渡り同盟を結んでいる。そのことも関係し、おのずとハロルドとシャルは普通の知人以上に親しくなった。
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