幼なじみのメランコリー
いつから好きだったなんて、そういうのは考えたこともなかった。


気がつけば隣にいて。


気づいたときにはもう好きになっていた。


でもそんなこと本人には言えるはずなんて到底なくて。


「チビのブー子からは羨ましいか?」


「べっつに」


いつもこんな風に意地を張ってばっかりの私。


大地は中学時代すっごいモテモテだったというわけでもないけれど。


誰かが大地を好きだとか告白してたとか。


そういう噂を聞くたびにわたしは急かされるような言いようのない不安に駆られた。


でも、大地は誰とも付き合わなかった。


それは好きな人がいるからとかそういうんじゃなくて、たぶん恋とか好きとかいうものがわかっていなかったからだと思う。


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