花束



手が冷えたから、と


縁がカイロと一緒にあたしの手を握った。


縁はそっぽを向きながらも


手を強く強く握ってくれていた。


縁の真っ赤に冷えきった手と


カイロの微妙な温もり。


暖かいのか冷たいのかよくわからないまま。


その握られた手の感触に委ねていた。


ーあの時。


あたしがちゃんと周りを見えてたら。


あそこで信号待ちなんてしなかったら。


雪遊びなんかせずに早く帰ってたら。


雪なんか降らなかったら。


こんな事には


…ならなかったのに。


< 11 / 12 >

この作品をシェア

pagetop