彼女はミルクティーが好き。
私の就職先


その日は風が強くて、
せっかく咲いた桜が視界を隠すように散っていった。

その光景をキレイとは思ったが、ここで待ち合わせて早一時間。


誰も来ない。

日にちを間違えたか?
時間を間違えたか?


不安でいっぱいになるが、
何度手帳を確認しても今日この時間で、この場所で。
待ち合わせたのは間違えないようだ。


それにしても立派な桜並木だ。
ワンピース型の白い制服を着た女の子たちがお上品に歩いてくる。

私が立っているのはこの桜並木の終わり、大きな門の横。
中には高等学校がある。

とおもう。


門や塀が高すぎて
中は全く見えない。



生徒たちからは、たまに向けられるこの人だれ?というような視線。
もしくは、素敵な笑顔と「おはようございます」の声。



 
「やぁ、ごめん。遅くなったね。」 

「ほんと待ちましたよ。」


やっと来てくれた。
この人が待ち合わせていた、近藤さん。



今日から私の雇い主となってくれる人。
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