彼女はミルクティーが好き。
部屋の扉を開けると、そこは、一泊数十万はしそうなスイートルームのようで、
一人で暮らすにはあまりにも広すぎる部屋だった。
「どう?すごい部屋よね。ここに三年間も住めるなんて羨ましいわ。」
羨ましいのは事実だが、ここに来る学生はみんな家もこんな感じの部屋なんだろう。まだ執事や、メイドがいないから、学生たちは不便しているのかも。
「さぁ、もうすぐ仕事開始ね。私たち同僚なんだから、これからよろしくね。分からないことがあったらいつでも言って。私は暇だったらロビーにいるから。」
そういって差し出された手を握りかえし、それぞれ職場に戻った。
カズちゃん。なんていい人なんだろう。
でも、おかまを隠してるって、みんなにバレてないのかな。
その時、扉が開いてカズちゃんが入ってきて、窓口越しに話しかけてきた。
「そうそう、忘れてた。ここの王子様達には、気を付けてね。じゃあね、それだけ。」
それだけを言うと、また帰って行ってしまった。