彼女はミルクティーが好き。



「王子様はみんな大体この時間に帰ってくるんです。
みんな一斉に帰ってきますが、
ロビーをすんなり通れませんから。

この扉を通るまでは落ち着けないんでしょうね。」



 扉が開いて、歓声が鮮明に聞こえる。


どう聞いてもうるさい。

一人の生徒が入ってくると、扉が閉まった。


眼鏡をかけた彼はこちらを見向きもせず、歩き去った。



なるほど、顔はカッコいいね。そりゃモテますね。


「彼は、6年の樫原 環さん。いつも成績はトップなんです。あんまり笑わなくて、愛想はあんまりよくない、ですね。いつもロビーを早足で通り過ぎちゃうんです。」






 また扉が開き、生徒が一人入ってきた。



背の高くて、すらっとした男の子。一目でわかる。

こいつが一番人気なんだと。



扉が閉まった途端、嫌そうに頭を掻き、
こちらをちらっと見たがそのまま去っていった。


「彼は、6年の一条 敬さん。
名前で分かると思いますが、一条学園の学園長の息子さんです。
優しくて、すごくいい人です。学園一の人気者ですよ。」



なるほど、彼には逆らえないんだな。

持ち上げ方といい、軽く会釈する行動といい、
どうやら彼には逆らえないようだ。




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