彼女はミルクティーが好き。


カズちゃんは人のことが分かるらしい。


「そうですね。この年になって、初恋もまだです。」


 カズちゃんは真剣な顔して、身を乗り出す。
どうにもすべてを見透かされているようで、緊張する。


「あなたそんなに美人で、性格も悪くないし、スタイルもいいのに、モテないわけないでしょ?」





 何度も言われたその言葉。全然嬉しくないし、同意もできない。


「私にもいろいろあったんですよ。」





 そういうと、カズちゃんは乗り出した身を背もたれに戻し、周りに目をやる。




「昔、いじめられたんでしょ。理由は学校一の人気者に惚れられたから。」





  自分でも体が跳ねるのがわかった。
 




「あなたを見ていたら分かったわ。
初めて会った時、警戒してたけど、私がゲイってわかった瞬間、
緊張が解けたわ。それに、私が王子様達に気を付けてって言った時も顔がひどく嫌そうな顔をしたわ。
夕食の時、女生徒があなたの事を見たとき、すぐにフォローに入ったことも、
女の子の扱いに慣れていたこと。


恋をしたことない。ってそんなにトラウマになっているのね。」



 カズちゃんは管理人より、探偵の方が向いていると思う。






「でもね、いじめられたからってトラウマになっている訳じゃないんです。

ただ的にされたんですよ。その人気者にね。
彼女にしても害がなくて、告白やらなんやらがなくなすために、
目をつけられたんです。
それを見事フっちゃったもんだから、散々な目にあいました。

その後、彼は助けてくれませんでしたよ。




まぁ卒業3か月前の話なんで、そんなにつらくもなかったですが。

人気者というのは信用できません。



すべてが嘘で、
すべてが自分のためなんですよ。」





今日初めて会ったカズちゃんになんて話をしてるんだ。


そう思って、冷めたミルクティーを飲み干す。







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