彼女はミルクティーが好き。



「何してんの?」



 一条の部屋から出ると、
隣の部屋に住む樫原に出くわした。


どうやら一部始終を見られていたようだ。




「ご子息のお遊びに付き合っていたんですよ。」


人に聞いたくせに、
樫原は興味無さそうに鼻を鳴らすと、自分の部屋に入っていった。


「そういえば、声を聴いたのは初めてかも。」


一か月も同じとこに住んでいるが、話すことも無く、
誰かと話しているとこも見たことなかったから、


何気に初めて声を聞いた。

想像通り、声はやる気の無さそうな低い声だった。




あ、そういえば、仕事まだ残ってたんだ。
晩御飯までに終わらせよう。


今日はそうだなぁ、野菜炒めにしようかな。


キャベツ、あったかなぁ。なかったら、もやし炒めだな。








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