彼女はミルクティーが好き。
コーヒーメーカーを不具合のまま放置するわけにもいかず、
早く原因を見つけて
さっさと終わらせてここから離れよう。
どうやら簡単なもので、中のバルブが外れてしまっていただけらしい。
水が漏れてしまったマシンを拭き、バルブをつなぐだけ。
10分ほどでカバーを閉めて、改めてコーヒーを淹れなおす。
今回は正常に動いているようだ。
「ねぇ、管理人さん。」
声の主はわかってるから、振り向きたくないが、
無視するわけにもいかず、後ろには双子の片割れが立っていた。
「どうかしました?」
話しかけられたのは、初日以来だ。
「実はね、お兄ちゃんの本を隠してるから、
どこにあるとか、お兄ちゃんに言わないでね。ちょっとした
いたずらなんだから。言っちゃうと面白くないでしょ?」
そういうと、ロビーから去っていった。
もう一人は先に帰ったのかここにはいなかった。