彼女はミルクティーが好き。
「ねぇ、管理人さん。」
振り向いた彼女は少し嫌そうな顔をした。
うすうすわかっていたけど、
彼女は、結構美人だ。
くすりとも笑わないが、無表情で見つめる顔でも、
美人だと思う。
「案外簡単に作ってくれたね。」
彼女は僕たちを疑わないのか、すんなりカードを作ってくれた。
僕たちの名前を一度も呼んだことないくせに
名前はどうやら知っているそうだ。
人気者ですからね。
といった顔は、笑いもせず、嫌味のように言ったその顔が気に食わない。
この手に持つカードで彼女を辞めさせられる。
「ほんとに開くと思う?
管理人さんだしさ、
もしかしたら見分けついてるかもよ。」
兄は何かに期待を込めるように僕に言うが、
そんなの、僕だって少し期待してる。
開くな。開くな。と思いながら、
僕の部屋の扉にICカードをかざす。