彼女はミルクティーが好き。
注目の的



「ただいまー」



 帰ってきた甘利兄弟は挨拶を忘れなかった。



一条にも、樫原にも、ジロジロ見られている。


どうやら、甘利兄弟が誰かに挨拶するのはよっぽど珍しいことらしい。


他の人気者もそうだが、
こいつらは全然挨拶をしない。


他の子たちは、目があえば挨拶をしてくれるのに。



お偉い身分ですね。





「ずいぶん注目されてるねー」




 久しぶりのご対面、染色。窓口に肘をついて身を乗り出してる。このチャラ男め。




「どうかされました?」


 冷たく言うと、染色は身を引っ込め、窓口にまっすぐ立った。



「甘利に聞いたよ。双子の見分けがつくんだって?すごいね。僕も全然わかんないのに。」




 それで甘利兄弟は私にやさしくなったんだ。
誰かに見分けついてほしかったんだ。






寂しがりやのわがままだね。








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