彼女はミルクティーが好き。



そして、今に至る。

つまり、私は何もわかってない。



仕事内容はどうやら寮の管理人だそうだが、
掃除も庭師もハウスキーパーがいるなんてどんな寮なんだろう。



お嬢様学校としか思ってなかったから、
もしかしたらとんでもない学校なのかもしれない。


 そんなことを考えながら近藤さんの後ろをついていく。
学校から歩いて10分ほど経つ。
桜並木は過ぎて、高い塀に囲まれた道をひったすら歩いていく。



「あの、まだ着かないんですか?」


住み込みのため荷物は寮に先に送ってはいたが、
前日まで家で使ったものなどスーツケースに入れているため、
少し歩きにくく、短い距離でも煩わしい。



「いやぁ、そこにあるのはあるんだが、入り口まではあと10分ほど歩くよ。」
 
そういいながら近藤さんは塀にもたれかけた。


「ま、まさか」


 そのまさかだった。近藤さんが持たれかかった塀は
高すぎて向こうは全然見えなかったが、
この先に続く塀はすべて学生寮らしい。
 

< 5 / 63 >

この作品をシェア

pagetop