彼女はミルクティーが好き。



「でも、僕は管理人さんの笑った顔、

見たことないよ?男の人苦手なんだ?」




 探るような眼。

図星だろう?と言わんばかりのまなざし。



あー、腹が立つ。



「どう思われても構いません。」



 また冷たく言い放つ。相手してもきりがない。

ならもう、相手しないことにしよう。ちょうど後ろには
相澤君がそわそわしてるし、彼に頼ろう。



「どうしました?相澤君。」



「あ、管理人さん。ロビーのコーヒーがなくなっちゃって。取り込み中でしたらまた後でも、」

「あら、コーヒーを切らしていましたか。すぐ補充しに行きます。」




 窓口に立つ染色をそのままにコーヒー豆を持ち、ロビーに向かう。


 オートロックの扉を出る前にちらっと見えた染色は自分の部屋に向かって歩き出していた。







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