本当の君を好きになる
「ちょ、直登!」
「話しかけんな。」
「違うよ!前見て!前!」
「はぁ?」
直登も前を見て気づいたのか、急にスイッチが入れ替わる。
纏うオーラはキラキラとした物に変わり、顔立ちもキリッとする。
そして、女子生徒とすれ違いざまに……
「今から帰り?車に気を付けて帰ってね。」
そして、とびきりのスマイルをプレゼントする。
当たり前のようにあがる悲鳴。
満足そうな、直登の顔。
……恐るべき、王子魂……。
「……ねぇ、直登。」
「どうしたの?瀬戸さん。」
まだ、まわりに生徒がいることを警戒してか、王子モードを崩さない直登。
何か、凄いを通り越して、呆れちゃうんだけど……。
「家でもそのスタイルなの?」
「そのスタイルって何の事?僕はいつでも、こうじゃないか。瀬戸さん、面白いこと言うね~。」
そう言いながら、こっそり私の腕をつねる直登。
「ちょっ、いった、い!!痛い痛い痛い!!!」
「どうしたの?瀬戸さん、大丈夫?」
「バカ直登おおおお!!!!!!」