本当の君を好きになる
冬の私たち



「──さっむ!!寒すぎるだろっ!!」




そう愚痴をこぼすのは、私の幼馴染みの幸坂直登。

1ヶ月ほど前に、告白をされて、付き合うまではまだ待って欲しいと言われている状態なのだが、私たちの関係は良好だ。




12月も後半に入り、あと少しで冬休みになる。

クリスマスに、大晦日にお正月。

色んな行事が待ち受けている冬休みは、私たちにとって待ち遠しい存在だったのに──


***





「──じゃあ、金曜日までに記入して提出するように。」





机の上に置かれた紙を見て、私は固まってしまう。




       『進路希望調査』




はぁ……と思わずため息が溢れる。

そうだ、浮かれてばかりではいられない。

高校2年生の冬は、本当に大事な時期なんだ。



分かっている筈だけど……この紙は私にとって最強の敵になっている。


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