本当の君を好きになる
***
「──え?進路どうするかって?」
「うん。」
一人で悩んでいても仕方がないと思い、私は凪沙に相談をすることにした。
人の進路を聞いて、自分の事を考えるっていうのも良いことだろう。
「……私はね……調理系の専門学校に行きたいと思ってるんだ。」
「え!?そうだったの!?」
「うん!私、よくお菓子作って持ってくるでしょ?それを、可鈴とか他の友達とか、美味しいって笑顔で食べてくれるのが嬉しくてね……。将来は、お菓子を作ってたくさんの人を笑顔にしたいなって思ったの。」
「……そ、そうなんだ……。」
凪沙の夢を聞くのは、今が初めてでびっくりした。
知らない内に、凪沙は自分の夢を明確に決めていたんだ……。
「──瀬戸さーん、帰ろう。」
そこへ、直登がやって来る。
私はハッとして、荷物を準備する。
「可鈴、また明日ね!」
「う、うんっ。また明日っ……。」
私は、その場を逃げるように立ち去った。