本当の君を好きになる
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「──あー、進路希望調査か。」
次は、直登にも同じことを聞いてみる。
「……うーん、まあ、大学に行くつもりではいるよ。」
「大学……!?」
「うん。可鈴は?大学行くのか?」
「……私は……。」
私は、その先を答える事が出来なかった。
皆、知らない内に色々と考えていたんだ。
私には、なりたい物もやりたい事も何もない。
将来どうしたいかなんて考えてもみなかった。
自分だけが、取り残されたような感覚がして、すごく苦しい。
私だけが、何も考えていない。
何もない。
その現実に目の前が真っ暗になった。
「私はー……とりあえず短大に行こうかなー。」
「短大かー。お互いに受験、頑張らないとな。」
「……そう……だね。」
そう言って、私は拳を強く握りしめた。