本当の君を好きになる

***




「──あー、進路希望調査か。」




次は、直登にも同じことを聞いてみる。



「……うーん、まあ、大学に行くつもりではいるよ。」



「大学……!?」



「うん。可鈴は?大学行くのか?」



「……私は……。」





私は、その先を答える事が出来なかった。


皆、知らない内に色々と考えていたんだ。


私には、なりたい物もやりたい事も何もない。


将来どうしたいかなんて考えてもみなかった。




自分だけが、取り残されたような感覚がして、すごく苦しい。




私だけが、何も考えていない。


何もない。



その現実に目の前が真っ暗になった。




「私はー……とりあえず短大に行こうかなー。」



「短大かー。お互いに受験、頑張らないとな。」



「……そう……だね。」




そう言って、私は拳を強く握りしめた。


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