本当の君を好きになる

***



その日の夜、私がリビングでボーッとしていると、母が声をかけてきた。




「冴えない顔してるけど、直くんと何かあったの?」




「もー!!すぐに直登直登ってうるさい!!」




「だって、いつもそうじゃない。だから、今日もそうなのかと思ったのよ。」




「私だって他に悩むことぐらいあるし。放っておいて!!」






私はそう言って、立ち上がると自分の部屋に入る。

扉にもたれ、下を向く。涙がポタリと落ちる。



情けない……。本当に情けない……。



母に八つ当たりをする自分も、何も考えていない自分も、本当に情けなくて大嫌いだ……。


と、その時──



ピロリロリン♪ピロリロリン♪

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