本当の君を好きになる
着信音が鳴り響く。
私は、涙を拭うとポケットからスマホを取り出し、画面を確認する。
そこには、『直登』と表示されていた。
「……もしもし。」
『あー、可鈴?今からこっち来れないか?』
「……え?こっちって、直登の家の事?」
『そうそう。おばさんに言って、ちょっと来いよ。待ってるから。』
「え?直登、ちょっと待っ──」
そこまで言ったところで、電話は切れてしまった。
何で今から?そう思いながらも、扉を開ける。
すると、ちょうどそこに母親が立っていた。
「あ、可鈴──」
「──ちょっと直登のところ行ってくる。」
「へ?あ、分かったわ。」
私は、そう言うとすぐに家を出て、隣の直登の家のインターホンを鳴らす。