本当の君を好きになる
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「──直登、ありがとうね。」
「ん?」
「すごくスッキリした。本当にありがとう。」
「……お礼なら姉貴に言えよ。」
直登は、そう言ってマフラーに顔を埋める。
コートのポケットに手を突っ込んで、寒そうにして歩く直登。
私も直登の隣を歩きながら、寒さに震えていた。
街灯の少ない住宅地。
特に会話をすることもなく、静かに歩く。
冬の夜に輝く星はとても綺麗で、吐く息は夜空に雲のように浮かんで、スーっと消える。
「そういえば、何買うの?」
私が尋ねると、直登の肩がビクリと震える。
「……いや……特には決めてない……。」
「へ?」
「ちょっと、散歩したかっただけだよ……。」
「ふーん、そっか。」
特に追及することもなく、私はうっすらと笑みを浮かべて歩く。