本当の君を好きになる

***



「──直登、ありがとうね。」



「ん?」



「すごくスッキリした。本当にありがとう。」



「……お礼なら姉貴に言えよ。」





直登は、そう言ってマフラーに顔を埋める。

コートのポケットに手を突っ込んで、寒そうにして歩く直登。

私も直登の隣を歩きながら、寒さに震えていた。



街灯の少ない住宅地。

特に会話をすることもなく、静かに歩く。



冬の夜に輝く星はとても綺麗で、吐く息は夜空に雲のように浮かんで、スーっと消える。





「そういえば、何買うの?」




私が尋ねると、直登の肩がビクリと震える。



「……いや……特には決めてない……。」



「へ?」



「ちょっと、散歩したかっただけだよ……。」



「ふーん、そっか。」




特に追及することもなく、私はうっすらと笑みを浮かべて歩く。




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