本当の君を好きになる




「……俺もさ、やりたいことなんて決まってないんだよ。」





直登は、夜空を眺めながらそう話す。





「とりあえず大学に行って、何かやりたいことが見つかればいいなーって、そんな感じ。俺のこの考えは否定されやすいけどさ、母さんも『それで良いと思うよ?』って言ってくれたんだよな。


母さんは、実際に大学に行って、新しい色んな出会いがあって、専門的な知識を学べて、一人暮らしだったからバイトをして、そこで社会勉強をして……。結局、専門職には就かなかったけど、その時間も無駄じゃ無かったなって思えるらしい。考えは、人それぞれだけどな?俺も、そうやって一度家を離れてたくさん学べることもあるんじゃないかって、そう思うんだ。」





「家を離れる……か。」





そうやって考えたら、直登と一緒に過ごせるのもあと少しなのかもしれない。


直登は、あの家を、この町を出ていくんだ。




今までは、当たり前のようにそばにいた私たちだけど、そうじゃない日が来るんだね。

想像もしなかった。

そう考えると、胸がキューっと締め付けられて、すごく苦しくなってきた。



直登が、私の隣からいなくなる……。




と、その時、直登が立ち止まった。


私も、それに合わせて足を止める。

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