本当の君を好きになる


湊くんは、何かを感じ取ったようで、そう呟いた。


その場をすぐに立ち去ろうとした私は、湊くんからの冷たい空気を感じ取り、立ち止まる。


直登と湊くんは、睨み合いになっている。


すると、湊くんが先に声を発する。




「……泣かせたらただじゃおかないから。」




「もう泣かせねぇよ。」



二人はそれだけ言うと、ニッと笑う。


あれ……?

何か前みたいなとげとげしさが無い……?



湊くんが手を振るので、私たちは手を振ってその場を立ち去った。


直登の表情も、心なしか穏やかだった──。


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