本当の君を好きになる



「……はぁ、幸坂くんって本当にカッコいい……。」



私の前で、そう幸せそうに呟くのは、クラスメイトの井上凪沙(イノウエナギサ)。凪沙とは、中学生からの仲。とても女の子らしく、妹のような可愛さがある。


「……そうかな……?」


私がそう言うと、凪沙は厳しい目付きで私を見る。



「そうかな?じゃない!!幸坂くんほどカッコよくて、優しくて、勉強もスポーツも出来て……って人この学校にいないんだから!!」




熱を入れてそう言われるが、私の心には刺さってこない。

だって、それは彼が作り上げた偽の姿だから。

まあ、顔はどうやっても作れないから、そこは認めるんだけどね。




「幸坂くんと幼馴染みとか羨ましすぎる…!!しかも、家も隣で毎日一緒に登下校!?本当信じられないんだけど!!私もいつでも側にいたい……!!」


「いれば良いのに……。凪沙、幸坂くんが来るといつも逃げるんだから。」


「そりゃあ、カッコよすぎて直視出来ないんだもん!仲良くなりたいと思っても、近づくことさえ出来ないような存在なんだよ!!」


「……へ、へぇ~……。」

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