本当の君を好きになる
「着替えるから、リビングで待っててー。」
「うん、分かった。」
そう言われ、素直に直登を待つ私。
お姉さんも、お母さんも今日は仕事なのか、リビングで一人で待つことになった。
ていうか、どっちかがいれば直登の事を叩き起こしていただろう。
そんな事を考えながら、5分ほど経った。
その時、後ろからフワッと何かに包まれた。
それが直登だとすぐに気づく。
「お待たせ。」
そう耳元で呟かれ、低い声が響き、背筋がゾクッと震える。
優しく香る、直登の香りが私の胸に染み渡っていく。
「どうする?姉貴も母さんもいないし、俺の部屋でゆっくり過ごしても良いんだけど。」
「へっ……!?」
直登は、私に抱きついたままそう話し始める。
ど、どうするって……どうすれば良いの……?
「と、とりあえず一回離れ──」
「──嫌だ。」