本当の君を好きになる
「──湊くん。」
声をかけられて、俺は振り返る。
「素敵なクリスマスになりますように。」
瀬戸さんにそう言われ、思わず笑顔が溢れる。
それと同時に、涙腺も緩む。
「もう既に……最高のクリスマスだよっ……。瀬戸さん、幸坂っ……本当にありがとうっ……。」
そう言って目を覆うと、乱暴に肩を叩かれた。
それが、幸坂の手だとすぐに気がついた。
「……また話聞かせろよ。……悩んでるより、口に出した方が少しは楽になるからな……。」
「……うん。ありがとう、幸坂。」
「……おう。」
そう言って俯いた幸坂は、とても恥ずかしそうで、見ているこちらも、少し照れ臭くなった。
「──湊兄ちゃん、早くー!!」
そう呼ばれ、返事をする。
「分かったー!今行くー!!」
俺は、幸坂と瀬戸さんに手を振ると、また家の中へと戻っていく。
さあ、最高のクリスマスの始まりだ──。