本当の君を好きになる
──ピンポーン。
インターホンの音が鳴り響く。
特に気にも止めず、そのままボーッとしていた。
──ピンポーン。
再び鳴り響く、インターホンの音。
そういえば、母も姉も帰ってきてなかった。
重い体を起こして部屋を出ると、玄関へと向かう。
ガチャリと扉を開けた瞬間、俺は固まった。
そこには、息を切らした可鈴の姿。
乱れた髪の毛。
真っ赤な鼻と頬。
零れる白い息。
マフラーも上手く巻けていなくて、コートも前が留まっていない。
そして、手に握られているプリントが目に入る。
それを見て、目を見開いたその時、可鈴は話し始めた。