本当の君を好きになる
「可鈴、本当にありがとう。」
お願い。
そんなに満足そうな顔で笑わないで。
そんな優しい目で私のこと見ないで。
何で?
嫌だ、嫌だよ、直登。
お願い、遠くにいかないで?
ずっと、側にいてよ……!
「可鈴?どうした?黙り込んで。」
そう言って、私に手を伸ばす直登。
私は、その手をピシッと振り払った。
直登の表情が固まる。
「……は?」
私は、震える手を押さえ込んだ。
今にも、溢れだしそうな涙。
荒くなる呼吸。
すべてを抑えることに必死だった。
「そんなの聞いてないし。」