本当の君を好きになる
遠足にて
***
「──ダメだ……。疲れた。」
私のその声に隣を歩いていた凪沙は足を止める。
「大丈夫?」
「私のことは気にしなくて良いから、先に行きなよ。」
「えっ、でも……。」
「湊くんと歩きたいんでしょー。早く行きなよー。」
私が、小声でそう言うと
「へっ!?!?」
と絵に描いたように驚く凪沙。
私たちは、毎年の春の行事である山登りをしている。
新しいクラス、新入生との交流を深める行事なのだが、全く楽しめない。
本当に今すぐ帰りたい。
私の隣であたふたしている凪沙。
その様子から、湊くんと一緒に行動したい事は図星なのだろう。
初詣に、一緒に行った時から、凪沙の様子がおかしいとは思っていたが、湊くんの事を好きになっちゃうとはねー。
その人、性格悪いのにね。