本当の君を好きになる
魔の席替え
嬉しそうな声。
残念がる声。
教室のあちらこちらから、色んな声が聞こえる。
そんな声を聞きながら、私はムスッとしていた。
そんな私を心配そうな顔で見てくる凪沙。
そんな私を──嘲笑うかのような表情の、直登と湊くん。
教室の前に固まって座る、その3人の様子を見て私は机に突っ伏した。
「はーい、じゃあこれで席替えは終わりな。誰か座席表書いとけよー。」
そう言って担任が立ち去ると、私は顔を上げ、ボーッと窓の外を眺める。
と、その時誰かが近づいてくるのが分かった。
「瀬戸さーん!」
そこには、ニヤニヤを隠しきれていない直登と湊くん。
その後ろから、ひょこっと凪沙も顔を出していた。
「いやぁ、後ろの席羨ましいですわー!」
「僕も後ろの席が良かったよ!」
そう言いながら、まだニヤニヤしている二人。
私はそんな二人をギロッと睨み付ける。
そんな私の様子に、二人は少し怯んだようだ。