本当の君を好きになる

***



「──ねえねえ、凪沙は樋野綾人くんって知ってる?」




「……へ?」





席替えをした翌日のこと。

今までは、凪沙が私の席までやって来て話をすることが定番だったが、今回は私が凪沙の席に来て話をするようになった。

凪沙は、いつも直登と私より早く学校に来ているので、学校に来てすぐにここまでやって来た。





「……う、うーん……初めて聞いたよ。」





そう言って、わざとらしく笑う凪沙。

その様子に、私は首を傾げる。


何かおかしくない……?


私の疑念の目から逃れるように、凪沙は持っていた本に視線を落とした。



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