本当の君を好きになる
「直登は知ってる?」
「僕も聞いたことないよ。」
そう言って、ニコッと笑う直登だが、密かに私の座っている椅子を蹴ってくるの止めてください!!!!
「──樋野綾人?それって生徒会の役員の人の事?」
後ろから聞こえてきた声に、凪沙が一番に反応する。
そして、ポッと顔を赤く染める。
登校してきた湊くんは、私が座っている席に鞄をどんっ!と置く。
私は今湊くんの席に座っているんだけど……何これ。
どけろって意味ですか?
「てか、生徒会に入ってるの!?あの人!!」
「瀬戸さん。僕からのサインに気づいてくれないなんて、残念すぎるよ。」
「あんな可愛らしくて弱々しい感じなのに……湊くんにこき使われてなければ良いんだけど……。」
「こきなんて使うわけないでしょ?人聞きの悪いこと言わないでよね。」
そう言って笑ってはいるが、さっきの直登と同じように椅子蹴るの止めてくれます!?
「って言ってたら、ご本人さん登場みたいだね。」
今日も、柔らかい不思議なオーラを纏ったまま、すーっと教室に入ってきた樋野くん。
バチっと目が合った瞬間、ニコッと微笑んでくれた。
天使だ……!!!!
「さてと、樋野くんも来たことだし、私も自分の席に戻るとしますか~!!」
そう言って、立ち上がって伸びをする。
直登に冷たい目で見られたが、そんな事は気にせず、席に戻った。