本当の君を好きになる




***



「──井上さん?」



「……へっ?」




心配するように覗き込む顔に、私はハッと驚く。




「何か様子がおかしいけど、瀬戸さんと何かあったの?」



「え、い、いやっ……そんな事ないよっ。」



「そっか。それなら良いんだけど。」





桐谷くんはそう言うと、席に着き準備を始める。


桐谷くんと、隣の席になって夢のような気分だが、今は可鈴が樋野綾人と近づいてしまうことが、何よりも不安だ。


もし、仲良くなって、一緒に過ごそうなんて言い始めたら……?


そんな事になった時には、私がこのグループを抜けるしかない。

そうするしかない。




「──樋野って……。」



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