本当の君を好きになる
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「──井上さん?」
「……へっ?」
心配するように覗き込む顔に、私はハッと驚く。
「何か様子がおかしいけど、瀬戸さんと何かあったの?」
「え、い、いやっ……そんな事ないよっ。」
「そっか。それなら良いんだけど。」
桐谷くんはそう言うと、席に着き準備を始める。
桐谷くんと、隣の席になって夢のような気分だが、今は可鈴が樋野綾人と近づいてしまうことが、何よりも不安だ。
もし、仲良くなって、一緒に過ごそうなんて言い始めたら……?
そんな事になった時には、私がこのグループを抜けるしかない。
そうするしかない。
「──樋野って……。」