本当の君を好きになる
憂鬱な時間
ザワザワとした教室内。
今は、現代文の時間なのだが、今日は担当教師がおらず自習になっているのだ。
用意されたプリントをボーッとしながら解く。
ふと前方に視線を移すと、直登と湊くんは、しっかりとプリントと向き合っていた。
まあ、そういう姿はかっこいいと思うけど……もう、そろそろ本当の姿を出しても良いんじゃないの?って思うよね。
勉強している姿に、うっとりしている女子生徒も何人もいるし……。
そんな状況に呆れていると、トントンと机を叩かれた。驚いて、そちらを見ると樋野くんだった。
「どうしたの……?」
「いや、僕現代文って苦手でさ……。良かったら、一緒に解かないかな~?って思って。」
「あ、良いよ!私も得意では無いけど……。一人でやるよりは、はかどるよね!」
「うん。ありがとう。」
現代文は難しい。
例えば、この小説を読んでその人の気持ちを答えなさいとか分かるわけないじゃん。
そんなの、その本人か作者しか分からないでしょ。
私は、綾人くんと悩みながら問題を解き始めた。