本当の君を好きになる
「桐谷くんって、有名な人だったんだね?私、そういう事に疎いから、何も知らなくてごめんなさい。」
「え?いや別に気にしなくて良いよ。それに有名だなんて、そんな事ないから。」
「でも次期生徒会長って言われてるんでしょ?」
「それも、ただの噂だよ。」
「幸坂くんと同じくらいモテるっていうのは?」
その言葉に、桐谷くんはピクリと反応をした。
そして、立ち止まる。
「……瀬戸さんはさ……幸坂の事、どう思ってるの?」
真剣な顔でそう尋ねてくるので、私も立ち止まった。
そして、桐谷くんと向かい合う。
「幸坂くんの事……?」
「──好きなの?」
ビューッと強い風が吹く。
髪の毛で、視界が少し塞がれるが、桐谷くんはずっとこちらを見つめている事が分かる。
私は、髪を直すと答える。