本当の君を好きになる
湊くんの言葉に、私は首を傾げる。
「俺、誤解されたく無いからちゃんと言うね。……最近、井上さんと一緒にいるっていうことは確かに事実だ。」
ここで突然出てきた凪沙の名前に、私は動揺を隠せなかった。
な、何……?
何の話をするの……?
「それは、井上さんの味方になってあげたいから。彼女は深い闇を抱えているからね。」
「深い……闇……。」
「俺も、全てを教えて貰った訳じゃないけどね。でも、側にいれば彼女を支える事は出来るんじゃないかって思って。……井上さん、妹みたいな存在だから。放っておけなくてね。」
その"妹"の言葉が引っ掛かる。
湊くんにとって凪沙は、妹のような存在であって、一人の女の子としては見られていないってこと?
じゃあ、凪沙はそれを分かって、告白はしないって決めてるの?
好きでいるだけで十分って思ってるの?
そこに辿り着いた瞬間、私の中のモヤモヤが増える。
そんな状態の時に、私は告白しろだなんて軽口を叩いたの……?
最低じゃん……。
「でも、瀬戸さんは違う。」
次の言葉は、私に更なる追い討ちをかけた。
「──瀬戸さんの事、好きだから心配なんだよ。」