本当の君を好きになる
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何があってこうなったんだっけ?
私はこれまでの事を、一つ一つ思い出していた。
確か、お昼休みになった途端に、可鈴が逃げるように教室を出ていったんだよね。
もちろん、幸坂くんは可鈴の事を追いかけようとした。
でも、桐谷くんはそれを止めた。
「今は俺に任せて。」そう言い残して、私たちの前からいなくなった。
そこから、幸坂くんと二人になってしまったんだ。
そうだった、そうだった。
そう自分の中で納得はしたものの、幸坂くんと二人きりという状況は慣れず緊張してしまっていた。
どこか上の空の彼だが、二人の事が気になって堪らないのだろう。
それは、私だって同じだ。
「何かあった?」
幸坂くんが突然そう口を開いたので、私はビクッとして、隣に座る彼を見る。
「な、何かって……何も……。」
「可鈴に話せないことでもあるんじゃねぇの?」
「……え?」
「最近のお前らの関係性、何か薄っぺらいもんな。」
空き教室で誰もいないからか、彼の言葉は荒々しい。
いや、彼はいつも通りに喋っているだけで、私にとって図星な話過ぎてそう感じるだけかもしれない。
「……可鈴には……迷惑かけたくないから……。」
「……そ。」
幸坂くんは、軽くそう返事をするとペットボトルに口をつける。
「……迷惑ってさ、人が決めることで自分で決めることじゃないだろ。」
「……へっ?」