本当の君を好きになる


***




何があってこうなったんだっけ?




私はこれまでの事を、一つ一つ思い出していた。


確か、お昼休みになった途端に、可鈴が逃げるように教室を出ていったんだよね。


もちろん、幸坂くんは可鈴の事を追いかけようとした。


でも、桐谷くんはそれを止めた。



「今は俺に任せて。」そう言い残して、私たちの前からいなくなった。

そこから、幸坂くんと二人になってしまったんだ。

そうだった、そうだった。





そう自分の中で納得はしたものの、幸坂くんと二人きりという状況は慣れず緊張してしまっていた。

どこか上の空の彼だが、二人の事が気になって堪らないのだろう。

それは、私だって同じだ。





「何かあった?」





幸坂くんが突然そう口を開いたので、私はビクッとして、隣に座る彼を見る。



「な、何かって……何も……。」



「可鈴に話せないことでもあるんじゃねぇの?」



「……え?」



「最近のお前らの関係性、何か薄っぺらいもんな。」





空き教室で誰もいないからか、彼の言葉は荒々しい。

いや、彼はいつも通りに喋っているだけで、私にとって図星な話過ぎてそう感じるだけかもしれない。




「……可鈴には……迷惑かけたくないから……。」



「……そ。」



幸坂くんは、軽くそう返事をするとペットボトルに口をつける。









「……迷惑ってさ、人が決めることで自分で決めることじゃないだろ。」





「……へっ?」





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