本当の君を好きになる
お茶を飲み干したところで、幸坂くんはそう告げる。
「もっと可鈴の事頼れよ。アイツは……井上の事本当に大切に思ってるから。」
そう言って、頭をポンポンと撫でてきた。
その言葉と優しさに、私の目から涙がブワッと溢れる。
「飲み物買ってくるわ。」
そう言って、幸坂くんは教室を出ていった。
一人になった教室で、私は涙を流し続けた。
多くは語らない幸坂くんだけど、節々に優しさを感じる。
それと同時に、私が可鈴にしていた行動を思い返す。
大切な人に、頼ってもらえないって……思ったよりも残酷なのかもしれない。
迷惑をかけちゃいけないと思いながら、可鈴を苦しめていたのかもしれない。
話してみよう。
可鈴に。
大切だから。
大切な人だからこそ、頼ってみよう。
そう覚悟をして、涙を拭った瞬間、教室のドアがガラララと開いた。
思っていたよりも、帰ってくるのが早かったな。
そう思って顔を上げた瞬間、私は固まった。