本当の君を好きになる

危機







──ガチャン!!!!





大きな音を立てて、屋上の扉が開く。

私と湊くんは、そこから入ってきた人物を見て驚く。






「直登?どうしたの?」




すると直登は、物凄い勢いで湊くんの前に立つ。




はっ!!

もしかして、隠れて二人でご飯食べてたから怒ってここまで来ちゃったの!?


ま、待って待って!!


湊くんは何も悪くな──










「──井上が……いないんだ。」










その言葉に、私は首を傾げる。

凪沙がいないことが、そんなにも重要な事なの?



あの子は、結構マイペースだから、急にいなくなることなんて結構あるけど……。



そう考えていると、湊くんがすっと立ち上がる。





「どういうこと?」






湊くんは、ひどく冷たい声で直登にそう尋ねる。

え、何、この空気。

私だけが全くついていけないんですけど。



何で湊くんは、そんなに厳しい目で直登のこと見てるの?

直登も珍しく弱々しいし……。






「ちょっと離れた隙に──」



と直登が呟いた瞬間、湊くんが彼の胸ぐらをガッと掴んだ。




「離れんなって言ったよな?俺の忠告聞いてなかったのか?」




「ちょっ、湊くん、お、落ち着いて──」






「──瀬戸さんは黙ってろ。」






湊くんは、直登を鋭い目付きで睨み付けたまま私にそう言い放つ。

その威圧感に、私はそれ以上何も言えなかった。



< 221 / 308 >

この作品をシェア

pagetop