本当の君を好きになる
危機
──ガチャン!!!!
大きな音を立てて、屋上の扉が開く。
私と湊くんは、そこから入ってきた人物を見て驚く。
「直登?どうしたの?」
すると直登は、物凄い勢いで湊くんの前に立つ。
はっ!!
もしかして、隠れて二人でご飯食べてたから怒ってここまで来ちゃったの!?
ま、待って待って!!
湊くんは何も悪くな──
「──井上が……いないんだ。」
その言葉に、私は首を傾げる。
凪沙がいないことが、そんなにも重要な事なの?
あの子は、結構マイペースだから、急にいなくなることなんて結構あるけど……。
そう考えていると、湊くんがすっと立ち上がる。
「どういうこと?」
湊くんは、ひどく冷たい声で直登にそう尋ねる。
え、何、この空気。
私だけが全くついていけないんですけど。
何で湊くんは、そんなに厳しい目で直登のこと見てるの?
直登も珍しく弱々しいし……。
「ちょっと離れた隙に──」
と直登が呟いた瞬間、湊くんが彼の胸ぐらをガッと掴んだ。
「離れんなって言ったよな?俺の忠告聞いてなかったのか?」
「ちょっ、湊くん、お、落ち着いて──」
「──瀬戸さんは黙ってろ。」
湊くんは、直登を鋭い目付きで睨み付けたまま私にそう言い放つ。
その威圧感に、私はそれ以上何も言えなかった。