本当の君を好きになる
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ガラララッ───!!!!
大きく音を立てて扉を開け放つ湊くん。
私と直登も、すぐにその扉から空き教室の中に入る。
そして、大きく目を見開いた。
いつもなら、部屋のすみにまとめられている机も、何台か倒れているし、お弁当の中身は無惨にも床に散らばっている。
この状況に、誰一人として声を出すことが出来なかった。
一体、凪沙の身に何が起きたのか……想像するのも怖くて出来なかった。
「──樋野は?」
湊くんがボソッと呟く。
「……樋野くん……?」
その言葉に、心臓の音が先程よりうるさくなった。
「……樋野は……どこにいるんだ……?」
何かとてつもなく嫌な予感がして、私は空き教室を飛び出した。
走りながらスマホを取り出すと、凪沙に電話をかける。
呼び出し音が……1回……2回……3回……数が増すごとに不安も大きくなっていく。
出ない……。
私は、諦めて通話終了ボタンを押すと、続けて樋野くんの番号に電話をかける。
1回……2回……3回……。
……やっぱり出ないっ……!!
諦めて、電話を切ろうとしたその瞬間──
『──もしもし?』