本当の君を好きになる





***







ガラララッ───!!!!





大きく音を立てて扉を開け放つ湊くん。

私と直登も、すぐにその扉から空き教室の中に入る。



そして、大きく目を見開いた。





いつもなら、部屋のすみにまとめられている机も、何台か倒れているし、お弁当の中身は無惨にも床に散らばっている。




この状況に、誰一人として声を出すことが出来なかった。



一体、凪沙の身に何が起きたのか……想像するのも怖くて出来なかった。








「──樋野は?」









湊くんがボソッと呟く。






「……樋野くん……?」






その言葉に、心臓の音が先程よりうるさくなった。







「……樋野は……どこにいるんだ……?」







何かとてつもなく嫌な予感がして、私は空き教室を飛び出した。


走りながらスマホを取り出すと、凪沙に電話をかける。





呼び出し音が……1回……2回……3回……数が増すごとに不安も大きくなっていく。





出ない……。




私は、諦めて通話終了ボタンを押すと、続けて樋野くんの番号に電話をかける。



1回……2回……3回……。


……やっぱり出ないっ……!!







諦めて、電話を切ろうとしたその瞬間──












『──もしもし?』





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