本当の君を好きになる
「と、とりあえず簡単に説明すると、幸坂くんが凪沙のもとを離れた間に、空き教室に行ったんだよ。そしたら、めちゃくちゃ怒られて、机は倒すし、お弁当は投げ捨てるし……。嫌われてるから仕方ないんだけどね……。それに多分怒って家まで帰ってると思う。
僕から詳しいことを話して良いのかは分からないから、全部は話せないけど、とりあえず凪沙は乱暴されたって訳ではないよ!
あの状況を見てきたなら、僕の話は信じられないかもしれないけど。」
「し、信じるよっ!!」
私も、樋野くんの焦りを感じたのか、焦り気味で答える。
湊くんも納得いっていない様子だったが、小さく頷いていた。
とりあえず、樋野くんと凪沙は昔何かあったんだ。
そういえば、樋野くんの話を凪沙に投げ掛けた時、様子がおかしかったもんね。
でも机をなぎ倒したり、お弁当を散らかしたりするほど怒ったってことは……樋野くんが、かなり酷いことをしたって事だよね……?
結局謎は深まるばかりだったが、今は凪沙に話をしてもらうしかないのだ。
そう思いながら、教室に戻るとすぐに凪沙にメールを送った。
『今まで気づいてあげられなくてごめんね。私で良かったらいつでも話聞くから。』