本当の君を好きになる






***






ガチャン。




玄関の扉を閉めてようやく心が落ち着いた。



何か勢いよく学校飛び出して来ちゃったけど、大丈夫だったのかな?

今考えてみると、とんでもないことをしてしまったのかもしれない。



とりあえず、自分の部屋に行って休もうと思い靴を脱ぐ。

すると、リビングの扉がガチャリと開いた。





「何?今日早くない?」





扉から顔を覗かせた母は、時計を確認しながら私に尋ねてくる。





「あー……5、6時間目の先生が体調不良で帰っちゃって、早く授業が終わっちゃったんだよねー!」



「……ふーん?そう。」





私の言葉があまり信用ならないのか、母は生返事をしてリビングへと戻っていった。

ホッとため息をつき、重い足取りで二階にある自分の部屋へと向かう。





自分の部屋の扉に手をかけた瞬間、隣の部屋の扉がガチャリと開いた。


その音に、ビクッとして固まってしまう。


その部屋から出てきたのは、私の妹、菜月(ナツキ)だ。

菜月は、私の姿を見るとプイッと顔を反らし階段を降りていく。




はぁ……とため息をつくと、部屋の中へと入る。




菜月と会話をかわさなくなったのは、一体いつからだろう?

もう随分と昔のことのように感じる。





部屋に入り、ベッドにドサッと崩れ込む。

そして、何も考えずにスマホを開き、私は固まった。








『今まで気づいてあげられなくてごめんね。私で良かったらいつでも話聞くから。』








可鈴からメールが届いていた。


その文章を見て、涙がじわっと滲んでくる。


私、本当に何してるんだろう。


バカだな……。




これ以上何も考えたくなくて、私は静かに目を閉じた。





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