本当の君を好きになる
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ガチャン。
玄関の扉を閉めてようやく心が落ち着いた。
何か勢いよく学校飛び出して来ちゃったけど、大丈夫だったのかな?
今考えてみると、とんでもないことをしてしまったのかもしれない。
とりあえず、自分の部屋に行って休もうと思い靴を脱ぐ。
すると、リビングの扉がガチャリと開いた。
「何?今日早くない?」
扉から顔を覗かせた母は、時計を確認しながら私に尋ねてくる。
「あー……5、6時間目の先生が体調不良で帰っちゃって、早く授業が終わっちゃったんだよねー!」
「……ふーん?そう。」
私の言葉があまり信用ならないのか、母は生返事をしてリビングへと戻っていった。
ホッとため息をつき、重い足取りで二階にある自分の部屋へと向かう。
自分の部屋の扉に手をかけた瞬間、隣の部屋の扉がガチャリと開いた。
その音に、ビクッとして固まってしまう。
その部屋から出てきたのは、私の妹、菜月(ナツキ)だ。
菜月は、私の姿を見るとプイッと顔を反らし階段を降りていく。
はぁ……とため息をつくと、部屋の中へと入る。
菜月と会話をかわさなくなったのは、一体いつからだろう?
もう随分と昔のことのように感じる。
部屋に入り、ベッドにドサッと崩れ込む。
そして、何も考えずにスマホを開き、私は固まった。
『今まで気づいてあげられなくてごめんね。私で良かったらいつでも話聞くから。』
可鈴からメールが届いていた。
その文章を見て、涙がじわっと滲んでくる。
私、本当に何してるんだろう。
バカだな……。
これ以上何も考えたくなくて、私は静かに目を閉じた。