本当の君を好きになる
***
──ピンポーン。
電話をしてから二時間が経った頃、インターホンの音が鳴り響いた。
私は、ハッとして立ち上がると、玄関へと向かう。
扉を開けると、照れ臭そうに笑う凪沙が立っていた。
もう辺りはすっかり暗くなってしまっていた。
「上がって上がって!」
私はそう言うと、部屋へ迎え入れる。
凪沙が持ってきてくれたお菓子を机の上に広げ、可愛いグラスに入れたジュースで軽く乾杯をする。
少しの間、他愛もない話をして盛り上がった。凪沙の笑顔も戻ってきたところで、私は話を切り出すことにした。
「……凪沙、聞いても良いかな……?樋野くんのこと。」
「……うん。でもこの話をすると長くなっちゃうけど……大丈夫?」
凪沙は、そう言って心配そうに私の顔を覗き込む。
私はニコッと笑って答えた。
「大丈夫だよ!朝まででも語ろう!」
「うん。可鈴、ありがとう。あのね──」